世界の株価ランキング(2021年5月)
2021年5月の株式市場は、多くの国・地域で株価が上昇しました。
アメリカや欧州でワクチン接種が進み、景気回復への期待が高まったことが最も大きな要因です。
しかし、この景気回復への期待は思わぬ余波を引き起こしました。
5月12日に発表されたアメリカの消費者物価指数(CPI)が前年同月比4.2%上昇と予想を大きく上回ったことから、インフレ懸念が高まり、長期金利が急騰し、これが株価の下落につながりました。
日本でも、これを受け日経平均株価が一時大きく下落しています。
ただ、アメリカの長期金利はその後低下し、アメリカをはじめ各国の株価は再び持ち直しました。
それでは、5月末時点の世界の株価ランキングをみてみましょう。
順位 | 国・地域名 | 指数 | 1年騰落率(%) |
1 | インド | Sensex30 | 60.18 |
2 | UAE | Abu Dhabi General | 58.36 |
3 | 韓国 | Composite | 57.86 |
4 | アルゼンチン | Merval | 56.69 |
5 | 台湾 | 加権指数 | 55.99 |
6 | オーストリア | ATX | 53.73 |
7 | ベトナム | VNI | 53.63 |
8 | サウジアラビア | TADAWUL | 46.28 |
9 | ブラジル | Bovespa | 44.41 |
10 | メキシコ | IPC | 40.87 |
11 | アイルランド | ISEQ Overall | 39.79 |
12 | イタリア | FTSE-MIB | 38.32 |
13 | ポーランド | WIG | 37.73 |
14 | スウェーデン | OMX Stockholm 30 | 37.56 |
15 | フランス | CAC40 | 37.31 |
16 | ギリシャ | Athens General | 37.12 |
17 | ノルウェー | Oslo All Share | 36.53 |
18 | 米国 | ダウ30 | 36.03 |
19 | 南アフリカ | FTSE/JSE All Share | 34.63 |
20 | トルコ | BIST100 | 34.62 |
21 | オランダ | AEX | 33.20 |
22 | ドイツ | DAX | 33.09 |
23 | 日本 | 日経平均 | 31.91 |
24 | ロシア | RTS | 30.97 |
25 | カナダ | Toronto TSX Comp | 29.87 |
26 | ハンガリー | Bux | 29.25 |
27 | スペイン | IBEX-35 | 28.92 |
28 | 香港 | ハンセン指数 | 28.34 |
29 | ベルギー | BEL20 | 26.77 |
30 | 中国 | 上海総合 | 26.75 |
31 | オーストラリア | ALL-Ordinaries | 26.13 |
32 | シンガポール | ST | 26.03 |
33 | インドネシア | 総合指数 | 25.11 |
34 | ポルトガル | PSI20 | 19.62 |
35 | タイ | SET | 18.67 |
36 | スイス | SMI | 15.58 |
37 | 英国 | FT100 | 15.57 |
38 | フィリピン | 総合指数 | 13.52 |
39 | ニュージーランド | NZSX50 | 13.22 |
40 | マレーシア | 総合指数 | 7.49 |
41 | エジプト | EGX30 | 0.87 |
トップはインド
この1年間の株価騰落率トップはインドで、上昇率は60.1%でした。
インドも世界の他の国と同様、昨年3月の新型コロナパンデミックによる株価暴落の影響を受けました。
ただ、アメリカや欧州など先進国と比べ、その後の回復のペースが遅れたことから、1年前の昨年5月末時点では、まだ低い水準にとどまっていました。
インドではこの春、新型コロナウイルスのインド変異株の感染が広がり、5月の前半には1日の感染者数が40万人を超えました。深刻な感染状況から株価も足踏み状態が続いていましたが、感染状況が小康状態になってきた後半になり、再び上昇を示してきています。
2位はワクチン接種で先行したUAE
2位はUAEで、上昇率は58.3%でした。
半年前の2020年11月時点と比較した6ヵ月の上昇率でも32.1%で、41か国・地域中3位と、最近になってからの上昇が著しいことがわかります。
UAEは新型コロナのワクチン接種において先行していて、3月の時点ですでに人口の過半数が接種を終えたことが報じられています。
このほか上位には、3位の韓国や5位の台湾、7位ベトナムなど、これまで感染の拡大を封じ込めてきたとされるアジア諸国が並んでいます。
しかし直近では、変異株の猛威により、これらの国々でも感染者の急増が目立ってきました。
感染者の増加が続くようであれば、経済や株価に大きなダメージになる可能性もあります。
とくに台湾や韓国は、半導体の供給地域ですので、世界経済に与える影響は小さくありません。
アメリカは上昇率36.0%で18位でした。株価は現在、史上最高値圏での推移となっています。
大きな支援策や巨額の予算措置からは、早期の経済回復に注力するという強い意思が伝わってきます。ワクチンの接種も進み、地域によっては屋外でのマスク義務を解除したところもあるようです。
今後も安定した株価の上昇が期待されます。
ワクチン接種状況で明暗も
日本は騰落率31.9%で23位でした。
新型コロナの、とくに変異株による感染拡大により、4月下旬に発令された大都市圏への緊急事態宣言は、6月20日まで延長されています。飲食店や小売・サービス業などに対する休業・時短要請も長期にわたっており、経済へのダメージは増しています。
ワクチン接種は、ようやく高齢者向けの接種が軌道に乗りはじめましたが、ほかの国々から大きく出遅れているのは報じられているとおりです。
この遅れが企業活動の再開のネックとなり、景気の回復にも影響を及ぼすことになるとしたら、株式市場に対する影響も少なくないかもしれません。